ヤマニンゼストは、2022年の神戸新聞杯で12番人気ながら2着に食い込み、菊花賞への出走権をつかんだことで一気に注目を集めた競走馬です。
派手なデビュー勝ちや早期からのクラシック候補という歩みではありませんでしたが、未勝利戦から自己条件を連勝し、秋の重賞で末脚を生かした姿は多くの競馬ファンの記憶に残りました。
父シンボリクリスエス、母ヤマニンバステト、母の父ディープインパクトという血統背景を持ち、持続力と中距離適性を感じさせる一方で、キャリア全体は10戦2勝と短くまとまっています。
この名鑑では、公式データをもとにプロフィール、戦績、血統、走りの特徴、評価の分かれやすい点まで整理し、ヤマニンゼストがどのような個性を持つ馬だったのかを立体的に振り返ります。
ヤマニンゼストの基本プロフィール
ヤマニンゼストを理解するうえで最初に押さえたいのは、単に神戸新聞杯2着馬として見るだけではなく、どの血統背景から生まれ、どの陣営で育ち、どのような条件で力を発揮した馬なのかという全体像です。
JRA公式の競走馬情報では、ヤマニンゼストは2019年4月16日生まれの鹿毛の牡馬で、父はシンボリクリスエス、母はヤマニンバステト、母の父はディープインパクト、調教師は栗東の千田輝彦調教師とされています。
JBISサーチでも、登録は中央抹消、産地は新冠、馬主は土井肇氏、生産牧場は錦岡牧場、国内成績は10戦2勝、総賞金は4514万円と整理されています。
基本情報
ヤマニンゼストの基本プロフィールは、芝中距離路線で結果を出した牡馬として非常にわかりやすい構成になっています。
生年月日は2019年4月16日、毛色は鹿毛、産地は北海道新冠町で、馬主はヤマニンの冠名で知られる土井肇氏、生産は錦岡牧場です。
父シンボリクリスエスは現役時代に天皇賞秋と有馬記念を制した名馬で、産駒にはパワーと持続力を伝える印象があり、ヤマニンゼストにもその長く脚を使う資質が感じられました。
母ヤマニンバステトはディープインパクト産駒で、母系にはスピードやしなやかさを補う要素が入り、父系の力強さと母父の瞬発力が組み合わさった配合として見ることができます。
競走馬名鑑として見る場合は、勝利数だけで評価するのではなく、少ないキャリアの中で重賞2着という実績を残した点に注目すると、この馬の輪郭がよりはっきりします。
馬名の意味
ヤマニンゼストという馬名は、JRA公式情報で馬名意味が冠名と熱意と示されており、ヤマニンの冠名に英語のZestが組み合わされた名前です。
Zestには熱意や活力という意味があり、派手さよりも内側に燃える前向きさを感じさせる言葉として、競走馬の名前にふさわしい響きを持っています。
実際の競走生活を振り返ると、ヤマニンゼストはデビューからすぐに勝ち上がった馬ではなく、経験を積みながら徐々に内容を良くし、3歳春から夏にかけて評価を高めていきました。
この歩みは、名前に含まれる熱意という言葉と重なり、条件戦から重賞の舞台へ駆け上がったストーリーを象徴しているようにも見えます。
馬名の意味を知っておくと、神戸新聞杯で内を突いて伸びた姿や、人気薄でも存在感を示した競走内容を単なる結果以上の物語として味わえます。
血統構成
ヤマニンゼストの血統は、父シンボリクリスエス、母ヤマニンバステト、母父ディープインパクトという並びで、芝中距離に必要な底力と切れ味を同時に意識させる構成です。
父シンボリクリスエスはロベルト系らしい持続力やパワーを伝える存在で、芝の中距離から長めの距離でしぶとく脚を使うタイプを出すことがあります。
母父ディープインパクトは日本競馬を代表する名種牡馬で、柔らかさ、瞬発力、芝適性を伝える存在として、多くの活躍馬の母父にもなっています。
ヤマニンゼストの場合、瞬時に弾けて一気に全馬を差し切るというより、道中で脚をためて直線で進路を見つけ、長く脚を伸ばす競馬が印象的でした。
そのため血統面では、シンボリクリスエスの持続力を土台に、ディープインパクト由来の芝での反応が加わった馬と捉えると理解しやすいです。
生産背景
ヤマニンゼストは新冠町の錦岡牧場で生産された馬で、ヤマニンの血統を継続的に支えてきた牧場背景と結びついています。
競走馬の評価ではレース結果に目が向きがちですが、どの牧場で生まれ、どの母系から出たのかを追うことで、馬の個性や陣営の期待値が見えやすくなります。
錦岡牧場はヤマニンの冠名を持つ馬との関係が深く、馬名を見ただけで一つの系譜を感じられる点が競馬ファンにとっての魅力です。
ヤマニンゼストの母系にはマダニナの名も入り、武豊騎手が自身の公式サイトで祖母マダニナとの縁に触れていたことも、この馬を語るうえで興味深い要素です。
名鑑で整理する際は、個々の成績だけではなく、牧場、馬主、母系が連続していることまで含めると、ヤマニンゼストが単独の一頭ではなく血の流れの中にある馬だとわかります。
所属陣営
ヤマニンゼストは栗東の千田輝彦厩舎に所属し、キャリアを通じて関西圏の競馬場を中心に出走しました。
デビュー戦は阪神芝1800メートルで、そこから小倉、阪神、中京、札幌と複数の競馬場を経験しながら、徐々に競走内容を整えていきました。
騎手面では酒井学騎手、木幡育也騎手、横山典弘騎手、鷲頭虎太騎手、武豊騎手が騎乗しており、特に鷲頭騎手での2勝と武豊騎手での重賞好走が大きな節目になっています。
鷲頭騎手とのコンビでは未勝利戦と1勝クラスを勝ち、競走馬としての基礎的な評価を一段引き上げました。
その後、武豊騎手とのコンビで神戸新聞杯2着、菊花賞6着、日経新春杯4着と重賞やG1の舞台を経験したことで、ヤマニンゼストの名は条件馬の枠を超えて広まりました。
通算成績
ヤマニンゼストの通算成績は、JBISサーチ上で国内10戦2勝と整理されており、キャリアの長さだけを見ると非常にコンパクトです。
ただし、その10戦の中には神戸新聞杯2着、菊花賞6着、日経新春杯4着という内容が含まれており、単なる2勝馬として片づけるには惜しい実績を残しています。
勝ち星は2022年5月の中京芝2000メートルの未勝利戦と、同年7月の札幌芝1800メートルの1勝クラスで挙げています。
2勝はいずれも自己条件のレースでしたが、その後に3歳秋の重賞で強い相手と戦える水準まで上昇したことが、この馬の評価を大きく変えました。
競走馬名鑑としては、勝利数、重賞実績、出走時期の短さを並べて見ることで、順調ならさらに先が見たかった馬という印象が自然に残ります。
賞金と実績
ヤマニンゼストの総賞金は、JRA公式では4514万円、JBISサーチでも4514.0万円と掲載されており、重賞2着の賞金がキャリア全体の実績を大きく押し上げています。
最も大きな賞金を獲得したのは2022年9月25日の神戸新聞杯で、12番人気ながら2着に入り、賞金2234万円を加えています。
2023年1月15日の日経新春杯でも4着に入り、古馬相手のG2で860万円を獲得したことから、3歳秋だけの一発ではない力を示しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通算成績 | 10戦2勝 |
| 主な実績 | 神戸新聞杯GⅡ2着 |
| 総賞金 | 4514万円 |
| 主戦級の騎手 | 鷲頭虎太、武豊 |
賞金額だけで見ると重賞勝ち馬には及びませんが、クラシックトライアルでの好走と古馬G2での掲示板入りは、競走馬としての能力を評価するうえで十分な根拠になります。
登録抹消
JRA公式の競走馬情報では、ヤマニンゼストの抹消年月日は2024年10月20日と表示されています。
競走馬としては2023年1月の日経新春杯を最後にJRAでの出走がなく、結果的にキャリアは3歳秋から4歳初戦にかけての短い期間に大きな山場を迎えました。
競馬ファンにとって惜しまれるのは、神戸新聞杯2着と日経新春杯4着という内容から、もう少し順調なら中長距離重賞で再び好走する可能性を感じさせた点です。
一方で、競走馬のキャリアは能力だけでなく体調、脚元、ローテーション、成長曲線など複数の要素に左右されるため、実績があっても長く走り続けられるとは限りません。
ヤマニンゼストは短い戦績の中で濃い印象を残した馬であり、登録抹消後も神戸新聞杯の伏兵激走とともに記憶される存在です。
ヤマニンゼストの戦績を時系列で追う

ヤマニンゼストの戦績は、デビューから未勝利脱出までの試行錯誤、夏の札幌での連勝、秋の神戸新聞杯での急浮上、そして菊花賞と日経新春杯での挑戦という流れで整理するとわかりやすくなります。
特に印象的なのは、3歳春まで重賞級として大きく取り上げられていた馬ではなかったにもかかわらず、条件戦での勝利をきっかけに短期間で評価を変えた点です。
ここでは、主要レースの結果を単なる着順の列挙ではなく、どの段階で内容が良くなり、どのレースがキャリアの転機になったのかに注目して振り返ります。
デビューから未勝利戦
ヤマニンゼストのデビュー戦は2021年10月16日の阪神芝1800メートル新馬戦で、12番人気の9着という結果でした。
この時点ではまだ競馬の流れに乗り切れず、勝ち馬フォースクエアから1.0秒差と、将来的な重賞好走馬として強く意識される内容ではありませんでした。
しかし、年が明けた2022年2月の阪神芝1800メートル未勝利戦では7番人気ながら3着に入り、上位争いに加われるだけの素地を見せます。
その後、小倉芝1800メートルで6着、阪神芝2000メートルで9着と安定しない面もありましたが、距離や馬場を経験する中で徐々に競馬の形を固めていきました。
2022年5月7日の中京芝2000メートル未勝利戦で4番人気から初勝利を挙げたことが、ヤマニンゼストの競走生活における最初の大きな転機になりました。
条件戦での連勝
未勝利を勝ったあと、ヤマニンゼストは2022年7月24日の札幌芝1800メートルの1勝クラスに出走し、2番人気で勝利しました。
このレースでは鷲頭虎太騎手が騎乗し、前走から距離を短縮しながらも内容のある勝ち方を見せ、単なる未勝利勝ち上がり馬ではないことを示しました。
中京芝2000メートルと札幌芝1800メートルという異なる舞台で連勝した点は、ヤマニンゼストの対応力を評価する材料になります。
- 中京芝2000メートルで初勝利
- 札幌芝1800メートルで連勝
- 鷲頭虎太騎手との好相性
- 夏以降に評価上昇
続く藻岩山特別では6着に敗れましたが、この時期に条件戦で結果を出したことが、秋の神戸新聞杯挑戦へつながる重要な土台になりました。
主要レース一覧
ヤマニンゼストのキャリアを整理するなら、全10戦のうち重賞と勝利レースを中心に見ると全体像がつかみやすくなります。
勝ち上がりは中京と札幌で、重賞での好走は中京と阪神の長めの芝レースに集中しているため、芝1800メートルから3000メートルまで幅広く経験した馬だったことがわかります。
| 日付 | レース | 結果 | 距離 |
|---|---|---|---|
| 2022年5月7日 | 3歳未勝利 | 1着 | 芝2000m |
| 2022年7月24日 | 1勝クラス | 1着 | 芝1800m |
| 2022年9月25日 | 神戸新聞杯GⅡ | 2着 | 芝2200m |
| 2022年10月23日 | 菊花賞GⅠ | 6着 | 芝3000m |
| 2023年1月15日 | 日経新春杯GⅡ | 4着 | 芝2200m |
この表から見えるのは、ヤマニンゼストが条件戦で勝っただけの馬ではなく、クラシック路線と古馬重賞の両方で掲示板級の内容を残した馬だという点です。
神戸新聞杯2着が示した能力
ヤマニンゼストを語るうえで最大のハイライトは、2022年9月25日の神戸新聞杯です。
このレースは中京芝2200メートルで行われ、ジャスティンパレスが勝利し、ヤマニンゼストは12番人気ながら2着に入りました。
JRA公式の成績では、ヤマニンゼストは13番手付近から進め、直線で内を突いて推定上がり34秒5を記録し、強豪相手に存在感を示しています。
人気薄の激走
神戸新聞杯のヤマニンゼストは12番人気で、戦前の評価は決して高くありませんでした。
その背景には、直前の藻岩山特別で6着に敗れていたことや、重賞での実績がなかったことがあり、クラシック有力馬と比較すると目立ちにくい存在だったからです。
しかし、レースでは後方で脚をため、直線で進路を確保すると、最後までしっかり伸びて2着を確保しました。
勝ったジャスティンパレスには3馬身半差をつけられたものの、ボルドグフーシュやヴェローナシチーといった力のある馬たちを相手に先着した内容は高く評価できます。
人気薄の一撃ではありますが、展開だけに恵まれた偶然の2着ではなく、コース取り、折り合い、末脚、距離適性がかみ合った好走と見るべきです。
武豊騎手との初コンビ
神戸新聞杯は、ヤマニンゼストにとって武豊騎手との初コンビとなったレースでもあります。
武豊騎手は自身の公式サイトで、札幌の1勝クラスを勝ったときに今後走ってきそうだと気になっていた馬だったことや、馬ごみを苦にしない点、距離延長を歓迎できる点に触れていました。
実戦でもその見立てに近い形で、ヤマニンゼストは後方の内で我慢し、直線で馬群の間を抜けるように脚を使いました。
- 初コンビで重賞2着
- 内を突く進路選択
- 馬群を苦にしない走り
- 距離延長に対応
このレースは騎手の判断と馬の精神面が合致した好例であり、ヤマニンゼストの最大パフォーマンスを引き出した一戦といえます。
菊花賞へのつながり
神戸新聞杯2着によって、ヤマニンゼストは菊花賞に向かう資格と注目を得ました。
菊花賞では武豊騎手が引き続き騎乗し、阪神芝3000メートルというタフな舞台で10番人気6着という結果を残しています。
着順だけを見ると掲示板には届きませんでしたが、クラシック最終戦で大きく崩れず走り切ったことは、距離適性や精神面の強さを示す内容でした。
| 観点 | 神戸新聞杯 | 菊花賞 |
|---|---|---|
| 人気 | 12番人気 | 10番人気 |
| 着順 | 2着 | 6着 |
| 距離 | 芝2200m | 芝3000m |
| 評価 | 急浮上 | 善戦 |
神戸新聞杯の結果がなければ菊花賞で大きく注目されることはなかったため、この2戦はヤマニンゼストのキャリアを語るうえで連続した物語として見る必要があります。
ヤマニンゼストの走りの特徴

ヤマニンゼストの走りは、前で押し切るタイプというより、道中で脚をためて直線で進路を確保し、長く脚を使って浮上するタイプとして整理できます。
条件戦の勝利、神戸新聞杯2着、日経新春杯4着を見ると、芝1800メートルから2200メートル前後で持ち味を発揮し、3000メートルでも大きく崩れないスタミナを備えていました。
一方で、展開や位置取りに左右されやすい面もあり、常に自分からレースを動かして勝ち切るタイプではなかったことが、評価を考えるうえでの注意点です。
末脚の質
ヤマニンゼストの最大の武器は、直線でじわじわと脚を伸ばせる末脚です。
神戸新聞杯では後方から運び、上がり34秒5で2着まで伸びており、勝ち馬を捕まえるほどの爆発力ではなくても、ロスを抑えれば重賞級の相手にも通用する脚を見せました。
この末脚は一瞬で切れるというより、進路が開いたあとに最後まで止まらず伸びる持続型に近い印象です。
そのため、外を大きく回して全馬をまとめて差すよりも、内で脚をためて直線でさばく形や、距離ロスを抑えた立ち回りで良さが出やすい馬でした。
競馬予想や名鑑評価で見るなら、単純な上がり順位だけでなく、どの位置からどの進路を通って脚を使ったのかまで見ると、ヤマニンゼストの長所が理解しやすくなります。
適性距離
ヤマニンゼストの適性距離は、実績から見ると芝1800メートルから2200メートルが中心で、3000メートルにも対応できるスタミナを備えていたと考えられます。
未勝利戦は芝2000メートル、1勝クラスは芝1800メートル、神戸新聞杯と日経新春杯は芝2200メートルで好走しており、主戦場は明らかに芝の中距離帯です。
| 距離帯 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| 芝1800m | 合う | 1勝クラス勝利 |
| 芝2000m | 合う | 未勝利勝利 |
| 芝2200m | 得意 | 重賞2着と4着 |
| 芝3000m | 対応可 | 菊花賞6着 |
ベストを一つに絞るなら芝2200メートル前後が最も魅力的で、スタミナを問われつつも直線で脚を使える条件が合っていたといえます。
向いていた展開
ヤマニンゼストに向いていた展開は、前半で無理に脚を使わず、道中で折り合いをつけ、直線で進路を確保できる流れです。
後方から運ぶ馬は展開待ちになりやすい一方で、ヤマニンゼストは馬群を割る形にも対応できたため、器用さと我慢強さを兼ね備えていました。
好走条件を整理すると、速すぎない流れで脚をためられること、内外の進路ロスを抑えられること、直線で長く脚を使える馬場であることが重要になります。
- 道中で脚をためられる流れ
- 直線で進路が開く展開
- 距離ロスを抑える立ち回り
- 芝の中距離戦
- 馬群を苦にしない状況
反対に、早めに動かされる消耗戦や、外を回らされて脚を使わされる競馬では、持ち味を最大限に発揮しにくかった可能性があります。
血統とヤマニンの系譜から見る魅力
ヤマニンゼストの魅力は、レース成績だけでなく、父シンボリクリスエス、母父ディープインパクト、そしてヤマニンの母系が組み合わさった血統背景にもあります。
競馬ファンにとって血統は、単なる父母の名前ではなく、馬の走り方、距離適性、成長曲線、精神面を想像するための重要な手がかりです。
ここでは、父系、母系、ヤマニンブランドの継続性という三つの視点から、ヤマニンゼストを血統面で深掘りします。
父シンボリクリスエス
父シンボリクリスエスは、現役時代に天皇賞秋と有馬記念を連覇した名馬で、日本競馬におけるロベルト系の代表的存在です。
産駒にはパワー、持続力、成長力を感じさせるタイプが多く、芝でもダートでも一定の存在感を示してきました。
ヤマニンゼストは父の特徴を受け継いだように、瞬発力だけで勝負するというより、長く脚を使って粘り強く上位へ迫る競馬を得意としていました。
| 父系要素 | ヤマニンゼストへの見方 |
|---|---|
| 持続力 | 直線で長く伸びる |
| パワー | 中京芝2200mに対応 |
| 成長力 | 3歳夏以降に上昇 |
| 底力 | 重賞で善戦 |
シンボリクリスエス産駒らしさを前面に見るなら、ヤマニンゼストの神戸新聞杯2着は、展開の利だけではなく血統的な底力が表れた一戦と考えられます。
母父ディープインパクト
母父ディープインパクトという要素は、ヤマニンゼストの芝適性や直線での反応を考えるうえで欠かせません。
ディープインパクトの血は日本の芝競馬において非常に大きな影響力を持ち、母父としてもスピード、柔らかさ、切れ味を補う存在として評価されています。
ヤマニンゼストの場合、父のシンボリクリスエスから受け継ぐ持続力に、母父ディープインパクトの芝向きの軽さが加わったことで、中距離重賞での末脚につながったと見ることができます。
- 芝での反応を補う血
- 中距離での柔らかさ
- 直線の伸びを支える要素
- 母系の価値を高める存在
もちろん血統だけで競走能力を断定することはできませんが、ヤマニンゼストのレース内容を見ると、父系と母父の特徴がバランスよく出た馬だったといえます。
母系の物語
ヤマニンゼストの母系を語るうえで、祖母マダニナの存在は見逃せません。
武豊騎手は公式サイトのコラムで、祖母マダニナを錦岡牧場の土井オーナーがフランスのセリで購入した場に自身もいたという縁を語っており、その血脈がクラシック出走馬を生んだことに触れています。
このエピソードは、ヤマニンゼストが単なる一頭の競走馬ではなく、長年の繁殖と人のつながりの中から生まれた存在であることを感じさせます。
母ヤマニンバステト自身もディープインパクト産駒で、母系に名種牡馬の血を取り込みながらヤマニンの牝系が続いている点は、名鑑で強調したい魅力です。
血統表の文字だけでは見えにくい背景まで知ると、神戸新聞杯での好走は競馬場の一瞬の出来事でありながら、長い時間をかけて積み重ねられた血の成果でもあったと捉えられます。
名鑑で押さえたい評価ポイント
ヤマニンゼストを名鑑で評価する際は、重賞未勝利という事実だけで価値を小さく見積もるのではなく、限られたキャリアでどのような相手と戦い、どの条件で能力を見せたかを考える必要があります。
特に神戸新聞杯2着は、その後にG1やG2で活躍する馬が出た世代戦の中での好走であり、単なる人気薄の激走以上の意味を持ちます。
一方で、通算10戦2勝という短さや、勝ち切る力をどこまで評価するかについては慎重に見るべきで、強みと課題を分けて整理すると公平な名鑑になります。
評価される理由
ヤマニンゼストが評価される最大の理由は、条件戦から短期間で重賞級の舞台に到達し、神戸新聞杯で2着に入った上昇力です。
重賞に出走するだけでも一定の能力が必要ですが、12番人気で2着まで来たことは、展開、騎乗、馬の状態がかみ合ったときに高いパフォーマンスを出せる証明になりました。
さらに、菊花賞で6着、日経新春杯で4着と、その後も大きく崩れず走ったため、神戸新聞杯だけの一発ではないと見ることができます。
- 神戸新聞杯GⅡ2着
- 菊花賞GⅠ6着
- 日経新春杯GⅡ4着
- 芝中距離で安定感
- 名手との好相性
勝利数以上に重賞での内容が濃いため、名鑑上では重賞未勝利馬という枠に収めず、クラシック路線で存在感を示した伏兵として評価するのが適切です。
課題になった点
ヤマニンゼストの課題は、能力を出し切るために展開や進路の助けが必要になりやすかった点です。
自分から早めに動いて相手をねじ伏せるタイプではなく、脚をためて直線で進路を見つける競馬が合っていたため、レースの流れによっては持ち味を発揮しきれない可能性がありました。
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 勝ち切り | 重賞では未勝利 |
| 展開依存 | 直線の進路が重要 |
| キャリア | 出走数が少ない |
| 継続性 | 長期的な活躍は限定的 |
ただし、これらの課題はヤマニンゼストの価値を否定するものではなく、むしろ限られた条件の中で最大値を出した馬として評価するための補助線になります。
ファンに残した印象
ヤマニンゼストがファンに残した印象は、静かな伏兵が大舞台で一気に存在を示したというものです。
神戸新聞杯の前までは全国的な注目度が高い馬ではありませんでしたが、武豊騎手との初コンビで内を突いて伸びた姿により、一気にクラシック路線の注目馬となりました。
競馬では、デビュー前から評判の高い馬だけでなく、条件戦を勝ち上がった馬が秋に急成長して主役候補に迫る場面があり、ヤマニンゼストはその魅力を体現した一頭です。
また、ヤマニンの冠名、錦岡牧場の生産馬、母系の物語、武豊騎手との縁が重なったことで、単なる穴馬ではなく記憶に残る背景を持つ馬になりました。
名鑑で振り返る価値は、勝ったレースの数だけではなく、どのレースでどのようにファンの視線を引き寄せたかにもあります。
ヤマニンゼストを名鑑で振り返る要点
ヤマニンゼストは、2019年生まれの鹿毛の牡馬で、父シンボリクリスエス、母ヤマニンバステト、母父ディープインパクトという血統背景を持ち、新冠町の錦岡牧場で生産された競走馬です。
通算成績は国内10戦2勝で、勝ち星は中京芝2000メートルの未勝利戦と札幌芝1800メートルの1勝クラスですが、名鑑上で最も重視したい実績は2022年神戸新聞杯GⅡ2着です。
神戸新聞杯では12番人気ながら武豊騎手との初コンビで後方から内を突いて伸び、ジャスティンパレスに続く2着に入り、菊花賞への道を切り開きました。
その後の菊花賞では6着、日経新春杯では4着に入り、芝中距離から長距離寄りの条件で能力を示しましたが、JRA公式情報では2024年10月20日に登録抹消となっています。
ヤマニンゼストは重賞勝ち馬ではないものの、条件戦から短期間でクラシック路線へ浮上した上昇力、馬群を苦にしない精神面、血統と人の縁を感じさせる背景によって、競走馬名鑑に残す価値のある一頭です。
勝利数だけでは測れない印象深さを持つ馬として、ヤマニンゼストは2022年秋の中長距離路線を振り返る際に欠かせない伏兵だったといえます。



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